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ロケ日記.1977.?.?
 古い昔の話しだけど、緊張感の中でちょっと笑える話しをしようと思う。
我々の世界のCD(クリエティブディレクター)とAD(アートディレクター)という確かに解りずらい表示についてである。まだ会社勤めの時の事である。
 1977年春頃、羽田空港からJALでロサンゼルス向った。社長と副社長、いっしょのロケだ。
 西海岸のロケは午前出発して、時差の関係で同じ日の午後に着く事になる。つまりハワイ、西海岸のロケは時差ボケとの戦いとなる。クタクタで打ち合わせに入る。契約を含めたミーティングが重要なロケである。心身共に疲れている日本人スタッフは元気なアメリカ人の話しがストレートに頭に入らない。その日は軽い夕食を取ながら夜9時まで続いた。疲れていたが、少し変な事に気が付いたのは僕だけであろうか?現地スタッフは副社長の方ばかり向いて質問したり、その返答を仰いでいる。「それはHさんに聞いて下さい、Hさんが答えます。」と言っても、副社長のA氏に増々目を向けて話して来る。
 CDとAD、どちらが優先かは、その時その時の仕事によって違うと思う。それにしてもその責任は同等に重い。ややっこしい事に社長がADで副社長がCDとなると、社員としてはどうしても社長にいってしまう。我々は、ここに来るまでADと細かい打ち合わせを何度も、煮詰めてきた。だから変な感じがするのである。
 次の日も、その次の日もロケハンと平行して、そんなやり取りのミーティングが続いた。3日目のロケハンの時、アメリカ人のスタッフのロケハンポラを貼ったり、メモを書き込んだ書類を見て全てが解った。PHはカメラマンなどとと書いてあるスタッフ欄に、CDはChiefDirector、ADはAssistantDirectorと書いてあったのである。納得である。直ぐに伝えておこう、次のミーティングの時コーディネーターのチーフに、夕食の時に笑いながら話しをしてあげよう、社長と副社長に。二人はどんな顔をするだろうか......。
 二人のサインが必要な、お金に掛った重要な仕事であった。 
 クライアントはキヤノンカメラ AE-1。スタントマンを使った・・・ingである。AE-1はヒット商品になり売れた。28才。
 責任とプレッシャーで胸が熱くなった撮影だった。その後カタログ作例写真の為10日間アメリカに残る僕に、社長から表紙のスケッチを渡される。そこにはラフスケッチと共に注意する事のメモが優しい言葉で書いてある。アスリートに払うギャラまで.......。僕は今でもそのスケッチを持っている。そして時々見る。僕の宝であるから。見る度に夢中だった、あの頃に戻れるから。
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